「ばーか!!むっくなんて死んじゃえ!」
「?!待ってくださいー!!」
ご愁傷様
六道君!
むっくのばかばかばか!あたしがどんな思いで黒耀中学校まで来たと思ってんのこの人は!なのになのに!……えーと、何で怒ってたんだっけ…?何だろう、思いっきり叫んで思いっきり泣いて思いっきり走ったらすっきりして…、すっきりして忘れてしまった…!どうしよう、あんなにタンカきっちゃったから今更戻ることもできないしな…。むっくごめんねー、喧嘩の原因忘れちゃった。いや、でもむっくの何かに怒ってるもん…。何かがわかんないんだけど…。そんな事を思いながら私がとぼとぼと帰り道を歩いていると後ろからおもいっきり抱きつかれた。
「むっく?!」
「んばぁ〜、城嶋君と柿ピーだびょん★」
「ああ、何だ犬か…。」
「ぎゃん!冷た!!」
いやいや、★とか使ってる場合じゃないわけよ。今私はいつむっくがきてもいいように心の準備をしてるんだからむっくかと思わせるような行動かつ言動をしてほしくないっていってるの!!(心の中でね!)むっくが私のところにきたら多分息を切らしながら「すみません、…。」って謝るから、そこですかさず私が「ううん、私こそごめんね。仲直り、しよ?」「……。」そこからめくるめくラブロマンスが…。
「?ー?…柿ピー、が怖いびょん。なんかぼそぼそ言ってる。」
「……そっとしておいてあげなよ。」
あ!いつの間にやら犬とちーちゃんが居ない!!妄想をしてる間にどっかいかれちゃったか。まあそんなことよりむっくなんだけど…。来ない。ぜんっぜん来ない。来る気配すらないよ?…私馬鹿だ。、前来てくれたからって今回も来てくれるなんて決まってないのに。もしかして今度こそ私に呆れちゃったのかな?もう私なんかどうでもよくなったのかな?こんなつまんない事で怒っちゃったから…。そりゃむっくには私以外の好きな子ができるかも(もしかしたら居るかも)しれない。でも私にはむっくしか居ないんだから…、だからむっくが来てくれなきゃ私…!そんな事を考えてたら自然と涙がまた溢れてきた。ああ、私はどれだけ妄想に入り込めば気が済むんだろう。妄想でこんなに泣けるなんて私は有る意味凄いんじゃないか?そんなしょうもないことを考えながら私はベンチに腰掛けた。もう夕日も出ていてそろそろ帰らなきゃいけないのに。足が重くて立ち上がれない。私が静かに泣いていると前から男の人の様な影が見えた。むっくかもしれない、と淡い期待を浮かべた後、私は一気にどん底に落ちた。ここら辺じゃ有名な並森の不良たちだ。足が震えて動けない。恐怖からか涙は先ほどよりも零れる量が多くなっている。
「お嬢ちゃんどしたの〜?悲しいことでもあった?」
「まあまあ、俺らと遊んでりゃそんな事すぐ忘れるからいこーぜ。」
「あ、いやっ…!」
「おい、大人しくしろよ。」
ベンチから無理矢理立ち上がらせられて足を捻った。ずきずき痛む。今の私の心と同じ、ずきずきずきずき。
「今すぐその汚い手を離しなさい。」
「あ?誰だてめぇ…ッ!」
「警告はしましたよ?離さなかったあなた方が悪いんですよ。」
「…んだよ。」
不良たちが退散したと思ったらつぎにむっくがやってきた。どうしよう、これ夢?むっくすっごい怒ってる…、今度こそ嫌われた…!私が何も言わずただ涙をぽろぽろと流しているとむっくにいきなり抱きしめられた。Why?何故?
「むっ…くぅ…、わ、私のことっ、嫌いにならっ、ないでぇっ…!!」
「なるわけないじゃないですか…!!以外に好きになる女性は一生涯居ませんよ。」
「むっく…、ごめん、ねっ…。あたっ、あたしが変に意地張ったから…。」
「いいんですよ、もういいんです。それよりもなんでこんな公園に居るんですか。凄い探しましたよ…。」
「探してくれた、の…?」
「当たり前です。犬や千種がの居場所教えてくれたんですけどね。既にそこには居ませんでしたよ。」
「あ……。」
「まあ、いいです。今日は貴重なものが見れましたし。」
「貴重なもの、って…?」
「からのごめんなさい、ですよ。」
そういって悪戯っぽく笑ったむっくの顔はとてもかっこよくて(かわいくて)私はむっくに何度目かの恋に落ちた。多分これからも迷惑かけます。多分意地張ってどっかいきます。
でもそれができるのはあなたが来るっていう確信があるから!!
(いやー、しかし可愛かったですね。さっきの。嫌いにならないでー!ですからね。クフフ。)(!!!)