「ねえ、キョン君」が椅子に座り下をうつむきながら話しかける。古泉はニコニコと俺にオセロを薦めてくる。今そんな状況じゃないことくらいわかるだろう。朝比奈さんはの机と俺の机にとりあえずコーヒーを出し、オロオロとしながら部屋の隅っこに行ってしまった。長門は・・・まあ、言わずとわかるだろう。いつもどおりよく日の当たる窓辺で本を読んでいた。とりあえず俺はハルヒが居ないことに感謝した。あいつのことだ。一騒ぎ起こすに違いない。何しろハルヒは何故だかに敵対心を持っているからな・・・。何はともあれ、神様に感謝だ。「ねえ、キョン君聞いてる?」俺が一人そんな事を考えていると返事を返さないことに少し不満を感じたは少し眉間にしわを寄せて俺の顔を覗き込んだ。「ああ、聞いている。それで静岡が何だって?」「・・・誰も静岡の話しなんかしてないよ。」はあきれたように肩をすくめて見せコーヒーを一口すすった。しかし・・・なんだ、なぜこんなことになったかというと。俺がいつものようにSOS団の部室に向かう途中同じクラスのに呼び止められたのだ。少し話がしたいとのことだったのだが遅刻したら死刑、というハルヒの言葉を恐れ俺はをSOS団の部室へとつれてきた。そして話が何かと聞くと黙り込み、何度も「ねえ、キョン君」と俺に向かって言葉を投げかけてくる。だから一体話は何なんだ。できればハルヒが居ない今のうちに終わらせたい。俺は時計をちらちらと見、本日何度目かのため息をついた。「キョン君、今日ため息ばっかりだね・・・。あたしが居るから?」思わず、は?といいそうになった。何故そうなる?俺はいつハルヒが来るかを考えていたわけで・・・。別にがどうとかいう話はしていない。どうしたらその思考回路になるのかわからない。ちら、とのほうを見ると、さっきまで俺に話しかけてたと思ったら古泉に耳打ちしてるし。近い、近い!!そこの二人。俺がもやもやしながらコーヒーに手を伸ばすとがこっちに来た。「キョン君、あたし古泉君と付き合うことになったから!!」なぜか半ば怒り口調でそんな事を叫びだした。俺は内心結構傷ついた。何故かって言うと俺はに少なからず通常の人間以上に好意を持っていたからだ。今日だってもしかしたら、と思って少し期待していたのかもしれない。なのに結局用事は古泉への告白で、俺は用無しだったと言うわけだ。俺を呼び出したくせに。俺はダシか。俺はこのことがに悟られないように
「ほお、それはよかったな。ま、せいぜい頑張れ。」とだけ冷たく言った。コーヒーを持とうとした手が震えているのがわかった。まったく、みっともねえ。俺はを横目で見るとなんだか悲しそうな顔をしていた。しかし俺はきっと見間違いだ。と納得し手元にあるコーヒーに目線を向けた。そのときだ。勢いよく一気に顔を後ろに向けられた。ぐきっといい音が鳴り、俺の口から鈍い音が漏れたとき、俺の頬に唇独特の暖かくやわらかい感触が広がった。「あたしが好きなのは、キョン君なんだよ。」というの声が聞こえ、慌ててそっちの方を見ると顔を真っ赤にしながらが部屋を出て行くのが見えた。なんだよ、そういうことかよ。つまりだしにされてたのは古泉のほうだったのか。口元がつい、にやけてしまう。は、と我に返りこの部屋の3人の視線に気づき慌てて朝比奈さんが入れてくれたコーヒーを飲む。余韻に浸りながら少し冷たくなったコーヒーを飲んでドアの方を向くと、俺の視界にはちょうどが出たときにドアを開けたであろうハルヒの顔が飛び込んできた。ああ、また一波乱ありそうだ。そんな事を思いながら赤くなった顔を冷やすようにコーヒーをまた、ごくっと飲んだ。



冷めたコーヒー、上がる体温


(まるで反比例。さて、返事はいつ返そう。)

(TITLE BY:星藍理音)