どうしてぞうさんのおはなはながいの?

どうして、それはわたしが好きだった言葉。
気になることがあるとすぐに質問をした。
どうしてきりんさんのくびはながいの? どうしてうさぎさんのみみはながいの?
わたしがそんな質問したのは小さいとき。
お母さんやお父さん、大人の人たちに色々聞きまわった。
みんな一生懸命、答えてくれることが嬉しくてたくさん質問することが好きだった。

どうしてわたしは学校に行けないんですか?

どうして、それはわたしが好きだった言葉。
大抵の事は本で調べれたし、気になることは小さい頃に聞いていた。
それでも、まだわたしにとって分からないことは沢山あった。
どうしてわたしは皆みたいに外で遊べないんですか? どうして家に帰れないんですか?
わたしがそう質問したのは少し大きくなったとき。
気になったことをただ、聞いただけなのに、大人は皆そろって困り果てた顔をした。
お母さんやお父さん、大人の人たちにどうして、なんて聞いても答えが返ってくることは無かった。
悲しくなって泣きじゃくったこともあった。名のわからない感情がわたしの中に溜まっていった。

どうしてわたしは入院しているのか、どうして健康な体じゃないのか。
どうして、なんて聞いても返事が返ってくることが無いと分かったとき。
わたしはどうしてという言葉が嫌いになった。