「ええー?!阿部の誕生日って12月11日?!」 「どしたの、いきなりー、……間違いないよ?」 千代と教室でお弁当を食べていると衝撃の事実を聞かされて私は唖然としていた。いやいやいや、待ってよ。阿部の誕生日は12月11日。(間違いないよね、だって千代マネジだもん!)今日は……何日、だ? 「千代ちゃあ〜ん?今日は何日デスカ?」 「え、やだなあ〜、12月24日のクリスマスイブですよ!」 千代がいい笑顔で返してくる。どうして13日前に言ってくれないかなあ……!二日三日遅れならまだいいけど流石に13日って……!クリスマスイブじゃないですか!今更おめでとうって言っても、……阿部はイエスキリストかい!そんなツッコミを頭の中で繰り返してると千代が野球部来たよー、と言った。このタイミングで戻ってくんなよ野球部……!どうしよう…、水谷も花井君も言ってくれればいいのに…。………あ、そうだ! 「ちょっといってくる!クソレー!花井くーん!!ちょっと来てー!」 「おー。ちょっと行ってくるわ。」 「ん、わかった。」 「ちょっとちゃん!俺の扱い酷くない?!」 千代は頑張れーと言ってお弁当を片づけ始めた。私の呼びかけに対して2人は阿部に一言いって駆けつけてくれた。 「、どうかした?」 「なになに?ちゃん何かあった?」 「いやあ、時に諸君!阿部隆也の誕生日をご存知かい?」 「え、阿部?えーっと……冬だったとは思うんだけど……?」 「おいおい、チームメイトの誕生日位覚えとけよ……。12月11日だろ?それがどうかしたか?」 「…………花井君、知ってたの?」 私がわなわなと震えを押さえつつ聞き返すと、花井君はいとも簡単にうなずいてみせた。私は水谷に帰っていーよと言うと(水谷は泣きながら阿部に抱きついた。このクソレフト!)花井君に思いっきり詰め寄った。その瞬間花井君は真っ赤になってすぐ青くなった……けど私は気にせず続けた。 「ちょ!顔近いって!!」 「そんな事はどうでもいいの!」 「どうでもいいって!……後で殺されるの俺なんだよ……!」 「はい?まあいいや、時に花井君!」 「今度はなんだよお……。」 花井君はげっそりしてうなだれながらあたしに聞いた。赤とか青とかいうよりも紫のような色になっている。 「阿部の誕生日、どうして教えてくれなかったの?」 「ええぇ、そんな事言われても……。聞かれてないし…。」 「聞かれてないしじゃない!花井君主将でしょ!」 「もう、ムチャクチャ……。…大体なんでそんなに阿部の誕生日気になんの?」 「阿部が好きだからに決まってんじゃん!」 「へえ。俺のこと好きなわけ。」 「うん!ってうぇえぇ?!なんで人の内緒話聞いてんの阿部!」 「ちゃん興奮して声おっきくなってたぜ?もう、クラス中丸聞こえ。」 「水谷?!」 マジですか。じゃあ私は勢い余って阿部に告白したと!クラスのみんなの前で大好きとか叫んじゃったと!………。 「じゃ、そういうことで。」 「待てよ、。」 シャラップ!!お黙り阿部隆也!私は今顔がタコより真っ赤だから早く教室からでたいんだよ!手を、手を離せー!! 「祝えよ。」 「……え?」 「ふ、顔真っ赤。俺の誕生日祝えって言ったんだよ。」 「だって……13日もたってるし……。」 「好きな奴に祝ってもらうのにそんなの関係ねえだろ。」 「それに私阿部の誕生日知らなくって……。」 「言ってねえんだから知らなくて普通じゃねえか。」 「でも……。」 「俺もが好きって言ってんの。」 本当は何か言いたかったんだけど、次から次へと溢れてくる涙のせいで何も言えなかった。私は気づいたら阿部に抱きしめられていてクラスのみんなの野次なんで全く耳に入っていなかった。 「遅くなったけど、誕生日おめでとう……隆也。」 「どーも、。」 13日も遅れるし涙でぐしゃぐしゃの顔だけど精一杯の笑顔で言えたから、今年最高の日になった。来年は一番に言うからね、隆也。
Late happy birthday! (花井、後で覚えとけよ。)(だから嫌だったんだよ!!) |